「問い合わせは増えた。商談の数も増えた。それなのに、受注の数字だけが思うように動かない——」
広告やLPを見直して問い合わせを増やした企業ほど、この違和感を抱きやすい。問い合わせの手前、つまり広告・LP・訴求の設計については、前回の記事「問い合わせは来るのに、なぜ受注できないのか」で構造を整理した。ただ、問い合わせの質を上げても、その後の進め方が変わらなければ受注は増えない。受注が増えない原因は、問い合わせの“後”にある3つの関門のどこかにも潜んでいる。
本記事では、問い合わせから受注までを「見極め」「提案」「意思決定」の3つの関門に分け、BtoB企業に共通する3つの原因と、受注から逆算した見直しの手順を解説する。読者として想定しているのは、広告代理店・制作会社など受託型のBtoB事業を営む経営者と営業責任者である。
この記事の要点
- 問い合わせが受注につながらない原因は、問い合わせの前だけでなく、見極め・提案・意思決定という問い合わせの後の3つの関門にもある。
- 共通する原因は、①見極めの基準がない ②提案が自社の説明になる ③顧客社内の意思決定を支えていない、の3つで、互いに連鎖している。
- 見直しは受注・失注の理由を顧客の言葉で集めるところから始め、基準・提案・判断材料を作り直し、その結果をLP・広告にも戻す。
受注が増えない原因は、問い合わせの“後”にも潜んでいる
問い合わせの数は、受注までの道のりの入口を数えたものにすぎない。入口が広がっても、その先の段階で案件が止まっていれば、受注の数は変わらない。
問い合わせと受注のあいだには、いくつもの段階がある
BtoBの受注は、問い合わせが入った瞬間に決まるものではない。初回の連絡、ヒアリング、提案、見積もり、顧客社内での検討と稟議を経て、ようやく発注に至る。受託型のビジネスでは、1件の商談に複数回の打ち合わせを重ねることも珍しくない。
この段階のどこかで案件が止まると、問い合わせをいくら増やしても受注は横ばいになる。むしろ、対応すべき案件が増えた分だけ営業の手が回らなくなり、有望な案件への対応まで遅れることがある。問い合わせを増やす施策が、かえって受注率を下げる逆転が起きるのはこのためである。
現場の実感は、国内の調査でも裏づけられている
問い合わせの後で案件が止まる問題は、個別の企業だけの話ではない。国内の調査でも、マーケティングと営業のあいだで案件の受け渡しがうまくいっていない実態が繰り返し示されている。
- リードの質の課題。BtoBマーケティングに関わる504人を対象にした2026年2月の調査では、2025年の課題として「リードの質が悪い」が29.0%、「営業との連携不足」が23.2%挙がった。
- 営業側の不満。営業担当者159名を対象にした2024年10月の調査では、「リードに関する十分な情報が提供されない」が42.1%だった。
- マーケティング側の不満。同じ調査で、マーケティング担当者139名の47.5%が「リードに対するフォローアップの改善を行っていない」を課題に挙げている。
営業は「渡されるリードの情報が足りない」と感じ、マーケティングは「渡したリードが活かされていない」と感じている。双方の不満は、問い合わせの後の進め方が設計されていないことの表と裏だと考えられる。
本記事は、前回の記事の“その先”を扱う
前回の記事では、広告代理店ビジネスの構造と、発注側が「顧客理解・強みの言語化・訴求設計」を詰め切れていないことで、確度の低い問い合わせが積み上がる仕組みを扱った。いわば問い合わせの“手前”の話である。
本記事が扱うのは、問い合わせが入った“後”である。問い合わせの手前と後は切り離せない。手前の設計が甘ければ見極めが難しくなり、後の進め方が甘ければ質の高い問い合わせも失注する。両方を一続きで見ることが、受注を増やす前提になる。
問い合わせから受注までには、3つの関門がある
問い合わせから受注までの営業プロセスは、「見極め」「提案」「意思決定」の3つの関門に分けて考えると整理しやすい。受注が増えない原因は、どの関門で止まっているかによってまったく異なる。
3つの関門と、止まったときの症状
それぞれの関門には、固有の役割と、止まったときに現れる症状がある。自社の状況を当てはめると、どこから手を付けるべきかが見えてくる。
| 関門 | 役割 | 止まったときの症状 |
|---|---|---|
| 見極め | 追うべき案件を選び、優先順位を付けて早く動く | 全件を同じ熱量で追い、有望な案件への初動が遅れる。確度の低い商談に工数を奪われる |
| 提案 | 顧客の課題と自社の強みを接続し、比較の材料を渡す | 商談が会社説明で終わる。「検討します」のまま連絡が途絶える |
| 意思決定 | 顧客の社内で「決める」ところまで支える | 担当者は前向きなのに稟議が通らない。検討が長引き、発注が見送られる |
どこで止まっているかは、段階ごとの転換率で見分ける
止まっている関門を特定するには、問い合わせ数と受注数だけを見ていては足りない。段階ごとに、次の段階へ進んだ割合(転換率)を記録すると、どこで案件が減っているかが見える。
- 問い合わせ → 商談:見極めと初動が機能しているかを示す。ここが低い場合は、対応の遅れや、問い合わせの定義のずれを疑う。
- 商談 → 提案・見積もり:ヒアリングで課題を引き出せているかを示す。提案まで進まない商談が多い場合は、顧客の課題に踏み込めていない可能性がある。
- 提案・見積もり → 受注:提案の中身と、顧客社内の意思決定を支えられているかを示す。ここで止まる場合は、比較の材料や稟議の論点が不足していることが多い。
転換率の目安は業種や商材によって大きく異なるため、他社の数値と比べるより、自社の推移を追うほうが役に立つ。まずは直近の案件を振り返り、各段階の件数を数えるだけでも十分な手がかりになる。
原因1|見極めの基準がなく、すべての問い合わせを同じ熱量で追っている
最初の関門で起きやすいのは、問い合わせを選別する基準がないまま、届いた順に対応してしまうことである。見極めとは、問い合わせを断ることではなく、有望な案件に時間を集めるための設計である。
「問い合わせ」の定義が、マーケティングと営業でずれている
マーケティング側は「問い合わせが来た時点で成果」と捉え、営業側は「予算も時期も決まっていない相手は案件ではない」と捉える。同じ“問い合わせ”という言葉を使いながら、指している対象が違うことは多い。先に見た調査で、営業の42.1%が「リードに関する十分な情報が提供されない」と答えているのは、このずれの表れと考えられる。
定義がずれたままだと、マーケティングは件数を追い、営業は確度の低い案件を後回しにする。その結果、後回しにされた中に有望な案件が混ざっていても、誰も気づかない。見極めの基準は、両者が同じ言葉で案件を語るための共通の物差しでもある。
基準がないと、有望な案件への初動が遅れる
全件を同じ扱いにすると、有望な案件への連絡も、ほかの案件と同じ順番待ちになる。初動の速さについては、米国の調査が参考になる。2011年に発表された米国企業2,241社の調査では、Webからの問い合わせに1時間以内に連絡した企業は、それより遅れた企業に比べ、見込み度を判定できる可能性が約7倍高かった。
同じ調査では、30日以内に応答した企業でも、初回の応答までの平均は42時間だったという。この調査は米国のWeb経由の問い合わせを対象にしたもので、発表からも年数が経っているため、国内の受託型ビジネスにそのまま当てはまるとは限らない。それでも、関心が高いうちに接点を持つことの価値を示す材料にはなる。
見極めの基準は、自社の受注実績から作る
見極めの基準として、予算・決裁権・必要性・導入時期を確認する「BANT」と呼ばれる枠組みがよく知られている。ただし、汎用の枠組みをそのまま使うより、自社が過去に受注した案件の共通点から基準を作るほうが精度は上がる。確認したい観点の例は次の通りである。
- 課題の具体性。困りごとが「集客を強化したい」のような一般論ではなく、状況や期限を伴って語られているか。
- 決裁への関与。問い合わせた人が決裁者か、決裁者に説明する立場か。後者なら、誰がどう判断するのかを早めに確認する。
- 時期と予算の見通し。いつまでに、どの程度の投資を想定しているか。未定であっても、検討を始めたきっかけは聞ける。
- 自社の強みとの適合。その課題は、自社が選ばれてきた理由と重なっているか。重ならない案件は、受注しても成果を出しにくい。
基準に合わない問い合わせを切り捨てる必要はない。情報提供や定期的な連絡に回し、時期が来たときに商談へ戻せる状態にしておけばよい。重要なのは、限られた営業の時間を、どの案件に優先して使うかを決めておくことである。
原因2|提案が“自社の説明”になり、顧客の課題に接続していない
2つ目の関門では、商談の中身が問われる。提案の質は、自社の説明の詳しさではなく、顧客の課題とどれだけ接続しているかで決まる。
会社案内型の提案は、比較の材料にならない
商談の場で、会社概要、サービスの一覧、過去の実績を順に説明する。売り手にとっては丁寧な提案のつもりでも、顧客の受け止め方は違うことがある。
「自社のことを知ってもらえるよう、サービスも実績も一通り丁寧に説明した」
「どの会社も同じような説明だった。うちの課題にどう効くのかが分からず、比べようがない」
顧客は、複数の会社を比べたうえで発注先を決める。自社の説明が詳しくても、それが顧客の課題とどうつながるのかが示されていなければ、比較の材料にならない。結果として、価格の安さや、たまたま印象に残った会社が選ばれることになる。
買い手が営業に求めているのは、個別事情を汲んだ提案である
国内の買い手515名を対象にした2025年10月の調査では、81.2%が営業担当者だからこそ提供できる価値に期待していると答えた。求められている価値として挙がったのは、「個別事情を汲んだ提案」や「潜在ニーズの引き出し」である。
一方、同じ調査では、「自社の課題・要望に合わせた提案が欲しいとき」に営業を必要とする割合が、2022年の46.4%から2025年には39.0%へ下がっている。買い手が営業に頼る場面は減りつつあり、限られた接点で個別の課題に踏み込めるかどうかが、以前にも増して差になると考えられる。
提案の起点を、顧客の課題と自社の強みの接点に移す
提案を顧客の課題に接続するには、ヒアリングで引き出した課題を起点に、自社の強みがその課題のどこに効くのかを示す順番に組み替える。自社の強みを先に言葉にしておく方法は、「自社の強みの見つけ方」で解説している。
| 観点 | 自社の説明が起点の提案 | 顧客の課題が起点の提案 |
|---|---|---|
| 冒頭 | 会社概要とサービスの一覧 | ヒアリングで聞いた課題と、その背景の整理 |
| 中心の内容 | 自社にできることの網羅 | 課題に対して、自社の強みがどこに効くか |
| 実績の見せ方 | 件数や取引先の一覧 | 顧客と似た状況で、何をどう変えたか |
| 顧客に残るもの | 「丁寧な会社だった」という印象 | 社内で説明できる、比較の根拠 |
課題を起点にした提案は、ヒアリングの深さに左右される。現状の困りごとだけでなく、なぜ今それを解決したいのか、解決しないと何が起きるのかまで聞けているかを確認したい。
原因3|顧客社内の意思決定を支援できていない
3つ目の関門は、商談の場の外にある。受注の最後の一歩は、商談の場ではなく、顧客の社内で踏み出される。
失注の相手は、競合ではなく「決めない」ことが多い
失注というと競合に負けたことを想像しがちだが、実際には顧客が「どこにも発注しない」まま検討が終わる例も多い。250万件以上の営業会話を分析した海外の研究(2022年発表)では、商談の40〜60%が顧客の「決めない」で失われているとされる。
この研究は会話分析を手がける企業のデータに基づく海外の数値であり、国内の受託型ビジネスでの割合は分からない。ただ、「前向きだったのに連絡が途絶えた」「予算の都合で見送りになった」という失注は、多くの企業に覚えがあるはずである。これらは競合との比較で負けたのではなく、顧客が決めきれなかった結果と捉えられる。
購買担当者は、営業のいない場で判断を進めている
BtoBの購買では、問い合わせた担当者だけで発注が決まることは少ない。上司、決裁者、実際に使う部署、経理など、複数の関係者が社内で議論し、合意を作っていく。その議論の場に、売り手は立ち会えない。
海外のB2B購買者646人を対象にした2025年8〜9月の調査(2026年発表)では、67%が営業担当者を介さない購買体験を好むと答えた。同じ調査は、意思決定に確信を持てた購買者は、確信が低い購買者に比べ、質の高い取引だったと答える可能性が2倍だったとも報告している。顧客が自信を持って決められる状態を作ることは、受注だけでなく、発注後の満足にもつながると考えられる。
社内で説明するための材料を、先回りして渡す
顧客社内の意思決定を支えるとは、担当者が上司や決裁者に説明するときに使える材料を用意することである。渡したい材料の例は次の通りである。
- 比較の整理。検討している選択肢(他社、内製、現状維持)ごとの違いを、顧客の課題に照らして整理したもの。
- 進め方と体制。発注後、誰が何をいつまでに行うのか。顧客側に求める準備や負担も含めて示す。
- 想定されるリスクと対策。うまくいかない場合に何が起きるか、どう手当てするか。リスクを隠さない提案は、決裁者の不安を減らす。
- 投資の考え方。費用に対して何を期待するか、どの指標で効果を確かめるか。料金の形を比べる場合は、成果報酬型の仕組みとデメリットのような観点も判断材料になる。
これらを担当者任せにせず、提案の段階で一緒に作ることが、顧客が「決めない」まま検討を終える事態を防ぐ。
事例で見る|3つの原因は、連鎖して受注を止める
3つの原因は、別々に起きるわけではない。見極めの甘さが提案の浅さを生み、提案の浅さが意思決定の停滞を生む、という連鎖で受注が止まる。
事例|問い合わせは増えたが、商談が会社説明で終わっていた制作会社
以下は、説明用の仮設例であり、実在の企業や実績ではない。受託型のBtoB事業でよく見られる状況を組み合わせている。
| 状況 | Web制作会社が広告とLPを見直し、問い合わせが増えた。営業担当者は届いた順にすべての問い合わせに対応していたが、受注は横ばいのままだった。 |
|---|---|
| 原因 | 見極めの基準がなく、有望な案件への連絡も後回しになっていた。商談では会社案内と実績一覧の説明が中心で、顧客の課題に踏み込めていなかった。担当者が前向きでも、社内説明の材料がなく稟議で止まる案件が続いていた。 |
| 打ち手 | 過去の受注・失注案件を振り返り、見極めの基準を作った。提案書の冒頭をヒアリング内容の整理に置き換え、比較の整理と進め方の資料を提案とセットで渡すようにした。 |
| 結果 | 仮設例のため、成果の数値は示さない。狙いは、営業の時間を有望な案件に集め、顧客が社内で説明できる状態を作ることにある。 |
連鎖を断つには、入口から順に見直す
この例では、どれか一つの原因だけを直しても受注は増えにくい。提案書を作り込んでも、見極めができていなければ確度の低い案件に時間を使い続けることになる。意思決定の材料を用意しても、提案が顧客の課題に接続していなければ、材料の中身が伴わない。
3つの関門は順につながっているため、見直しも入口に近い関門から順に進めるのが基本になる。ただし、見直しの出発点は見極めの基準づくりではなく、その前にある「振り返り」である。次の章で、その手順を示す。
3つの原因をほどく、受注から逆算した見直しの手順
見直しは、受注と失注の理由を集めるところから始める。受注と失注の理由を顧客の言葉で集めることが、3つの原因すべてを見直す出発点になる。
STEP1|振り返る:受注・失注の理由を顧客の言葉で集める
直近の受注案件と失注案件を並べ、それぞれ「なぜ選ばれたのか」「なぜ見送られたのか」を整理する。可能であれば、顧客に直接聞く。営業担当者の推測ではなく、顧客自身の言葉で理由を集めることが重要である。こうした振り返りは、失注分析(ウィンロス分析)とも呼ばれる。
受注の理由からは、見極めの基準と、提案で強調すべき強みが見えてくる。失注の理由からは、提案で抜けていた論点や、顧客社内で止まった原因が見えてくる。振り返りは一度で終わらせず、案件が終わるたびに記録する習慣にしたい。
STEP2|基準をそろえる:見極めの基準と引き渡しのルールを決める
振り返りで見えた受注案件の共通点をもとに、見極めの基準を言葉にする。あわせて、マーケティングから営業へ案件を渡すときに、どの情報を添えるかを決めておく。
- 基準の明文化。課題の具体性、決裁への関与、時期、自社の強みとの適合など、優先して対応する条件を書き出す。
- 引き渡しの情報。問い合わせの経路、閲覧したページ、問い合わせ内容、初回連絡で聞いたことを、営業が商談前に確認できる形でリード管理の仕組み(表計算ソフトやCRMでもよい)に残す。
- 初動の決め事。基準に合う問い合わせには、誰がどれだけ早く連絡するかを決めておく。
STEP3|材料を作り直す:提案と判断材料を意思決定に合わせる
提案書の構成を、顧客の課題が起点になる順番に組み替える。さらに、比較の整理、進め方と体制、リスクと対策、投資の考え方といった、顧客が社内で説明するための材料を用意する。
材料は一度作れば終わりではない。失注の理由として同じ論点が繰り返し挙がる場合は、その論点を提案の早い段階で扱うように改める。STEP1の振り返りと組み合わせることで、提案は案件を重ねるごとに磨かれていく。
見直した結果を、問い合わせの前にも戻す
見直しの成果は、問い合わせの後だけにとどめない。受注の理由として顧客が語った言葉は、そのままLPや広告の訴求に使える。見極めの基準に合う顧客像が明確になれば、広告のターゲティングや、LPで先に答えておくべき疑問も定まる。
問い合わせの前の設計と後の進め方を往復させることで、問い合わせの質と受注率を同時に高められる。前回の記事で扱った「受注から逆算する設計」は、この往復によって精度が上がっていく。
スリーハンドレッドは、問い合わせの前と後を一続きで設計する
私たちスリーハンドレッドは、経営コンサルティングを起点に、問い合わせの前と後を分けずに支援する。問い合わせの獲得で終わらせず、受注までの流れを一続きで設計する点が、広告運用だけを担う支援との違いである。
問い合わせの前後を、同じ物差しで見る
広告やLPの改善だけでは、問い合わせの後の関門で止まっている案件は動かない。反対に、営業の進め方だけを直しても、問い合わせの質が低ければ見極めに追われる。私たちは、顧客理解と強みの言語化を土台に、LP・広告の訴求と、商談での見極め・提案・判断材料までを同じ物差しで設計する。
受注・失注の理由を集め、それを問い合わせの前後の両方に反映する。この往復を、単発の助言で終わらせず、成果が確かめられるところまで伴走する。
無料診断で、どの関門で止まっているかを確かめる
自社の案件がどの関門で止まっているのかは、外から見たほうが分かりやすいこともある。60分の無料診断では、次の3点を確認する。
- 現状の棚卸し:問い合わせから受注までの段階ごとの流れと、案件が減っている箇所を整理する。
- 原因の切り分け:見極め・提案・意思決定のどこに主な原因があるか、問い合わせの前の設計に課題がないかを切り分ける。
- 次の打ち手の提案:すでにできていることと足りないことを分けたうえで、最初に取り組むべきことを提案する。
まとめ|問い合わせを増やす前に、止まっている関門を特定する
問い合わせが増えても受注が増えないとき、原因は問い合わせの前だけでなく、その後の「見極め」「提案」「意思決定」の3つの関門にもある。見極めの基準がないこと、提案が自社の説明になっていること、顧客社内の意思決定を支えていないことは、互いに連鎖して受注を止める。
見直しの出発点は、受注と失注の理由を顧客の言葉で集めることである。そこから基準と提案と判断材料を作り直し、その結果をLP・広告にも戻していく。問い合わせをさらに増やす前に、どの関門で案件が止まっているかを特定することが、受注を増やす近道である。
よくある質問
Q. 問い合わせが受注につながらないのは、営業担当者の力量の問題ですか?
個人の力量だけの問題とは限らない。見極めの基準、提案の型、意思決定を支える材料といった仕組みがないと、力量のある担当者でも有望な案件に時間を集められず、顧客社内の判断も支えきれない。まずは仕組みの有無を確認することを勧める。
Q. 見極めをすると、受注の機会を逃しませんか?
見極めは、問い合わせを断るためのものではなく、対応の優先順位を決めるためのものである。基準に合わない問い合わせも、情報提供や定期的な連絡に回しておけば、時期が来たときに商談へ戻せる。むしろ、有望な案件への初動が遅れることのほうが機会損失は大きいと考えられる。
Q. 失注の理由は、顧客に直接聞いてもよいのですか?
丁寧に依頼すれば、答えてくれる顧客は少なくない。見送りが決まった後に、今後の改善のためと目的を伝えて短時間の聞き取りをお願いするとよい。営業担当者以外の立場の人が聞くと、顧客も率直に話しやすくなる。
Q. まず何から始めればよいですか?
直近の受注案件と失注案件を並べ、それぞれの理由を整理することから始めるとよい。あわせて、問い合わせ・商談・提案・受注の各段階の件数を数えると、どの関門で案件が止まっているかの見当が付く。
Q. 前回の記事で扱った「問い合わせの前」の対策とは、どちらを優先すべきですか?
どちらか一方ではなく、両方を往復させることが望ましい。ただし、問い合わせは来ているのに受注が増えない場合は、問い合わせの後の関門から確認するほうが早く原因に近づけることが多い。受注・失注の理由が集まれば、それを問い合わせの前の訴求にも活かせる。
出典:J. B. Oldroyd, K. McElheran, D. Elkington “The Short Life of Online Sales Leads” Harvard Business Review(2011年)/M. Dixon, T. McKenna “Stop Losing Sales to Customer Indecision” Harvard Business Review(2022年)/Gartner「Gartner Sales Survey Finds 67% of B2B Buyers Prefer a Rep-Free Experience」(2026年3月9日)/ソフトブレーン「営業部門/マーケティング部門の部門間連携に関する課題調査」(2024年12月)/ムジンほか5社「2025年の成果実態と2026年の注目施策に関する調査」(2026年2月)/HubSpot Japan「日本の営業に関する意識・実態調査2026」(2026年2月)。